パレーズ・エンド | 海外ドラマ女子会

イギリスの「BBC Two」が2012年に制作・放送した『パレーズ・エンド』は、フォード・マドックス・フォードの同名小説「Parade's End」を基に、スザンナ・ホワイト監督が手掛けた恋愛ドラマである。日本では2013年にWOWOWで放送されている。主役にベネディクト・カンバーバッチを起用して、20世紀前半のエドワード朝から第一次世界大戦を舞台にした、男女の葛藤を描いている。現在、Hulu、U-NEXT、dTV、Amazonプライムビデオ、Netflix、ABEMAプレミア、楽天TV、GYAO!で全エピソードの字幕版を配信中。

規律正しく真面目な青年であるクリストファー・ティージェンスは、ある時シルヴィアと出会い1度だけの関係をもつのだが、シルヴィアは妊娠してしまう。そのため真面目なクリストファーは結婚するのだった。

しかし、男性関係が派手なシルヴィアのお腹の子供はクリストファーではなく元愛人関係だった男性との子供かもしれなかった。その後結婚生活に飽きたシルヴィアは、愛人を作って駆け落ちしてしまう。

ほどなくしてクリストファーは、女性参政権活動家のヴァレンタイン・ワノップと出会い、聡明で明るい彼女に惹かれていくようになる。そんな時、駆け落ちしていた妻のシルヴィアが、クリストファーとよりを戻そうと帰って来るのだった。

1914年、第一次世界大戦は急速にヨーロッパに侵攻し、クリストファーも戦地へ赴く事になるのだが、傷を負って帰って来たクリストファーに更なる試練が待っていた。

『パレーズ・エンド』は、イギリスの作家フォード・マドックス・フォード著作の第一次世界大戦のイギリスとフランスを舞台にした長編四部作の小説「男は立ち上がる (パレーズ・エンド)」を基に描かれています。

このドラマの感想は、クリストファー・ティージェンスのいかにもイギリス紳士らしい高貴な振る舞いと、保守的な考え方が伝わるドラマだということです。そして、主役を演じたベネディクト・カンバーバッチがクリストファー・ティージェンスのイメージにピッタリだったこと。

オッドアイで面長な顔立ちは、いかにもイギリスの育ちの良い坊ちゃんで、モラルに於いても厳格な紳士という印象が非常にマッチングしています。

パレーズの意味は、行進・誇示の2つがありますが、他にも「離婚しない」という意味合いもあるようです。次にエンド（終わり）が組み合わされていますので、第一次世界大戦の終わり、そして結婚の終わりを意味していると解釈されるようですが、人によっては「戦争のパレードの終わり」と素直に解釈する方もいるようです。

戦争が終わり、クリストファーがヴァレンタインと生きることを選ぶということで、2つのパレードは終わりを告げました。

イギリスの作品は、風景や描写がとても美しいことでも知られています。同じ年代の貴族階級を扱ったドラマ『ダウントン・アビー』でも感じたことですが、本作で悪妻のシルヴィアがベッドに横たわる最終回のシーンは圧巻。

広い寝室で壁やカーテン、飾られてある花までもが一面白を基調にした背景と、シルヴィアのブロンドヘアーが輝きを放つ瞬間の映像が、鳥肌が立つほど美しかったのが印象に残っています。

シルヴィアがクリストファーを振り向かせようと必死になっていた最後の賭けに出たシーンです。普通の男性だったらその魅力にイチコロとなっていたでしょう。

それと相反して、戦場での塹壕の暗く重苦しい雰囲気というギャップが、観る人の心に重くのしかかってくる作品です。

果たしてシルヴィアは夫クリストファーを取り戻すことが出来るのか、それとも相思相愛のヴァレンタインと結ばれるのか、真面目なクリストファーが決意する瞬間が見もの。

主役のクリストファーを演じたベネディクト・カンバーバッチは、今まで演じた中では最高の役だったと評価しています。特に第一次世界大戦の塹壕でのシーンは、墓穴に入っている気分で、スズで出来たヘルメットは目から上のものが見えなくなり、それが戦争だと思うと恐ろしい感情が湧いて出たということ。そんな恐ろしさの中で、当時の兵士たちはどのような思いをしたのだろうと振り返っていたそうです。

本作品はシーズン1のエピソード5まででシーズン2への続編はなく、長編小説にしては短いドラマとなっています。各エピソードの放送時間が約1時間となっていて、最後まで視聴すると、長い映画を1本観たような気分になるでしょう。

しかし、ダラダラと長く続くよりも、良質で内容の濃いストーリーとなっていて、傑作と言っても良いかもしれません。

主人公のクリストファー・ティージェンス役に『シャーロック』のベネディクト・カンバーバッチが、その妻シルヴィア役に『それでも恋するバルセロナ』でゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ映画部門の主演女優賞にノミネートされたレベッカ・ホール、ヴァレンタイン役には『サイレントヒル: リベレーション3D』で主役を演じたアデレイド・クレメンスが起用されています。

2013年12月には3枚組のDVDもリリースされ、現在は各配信サイトで字幕版の配信が行われています。

更に、Amazonプライムビデオ、FODプレミアム、Hulu、U-NEXT、dTV、楽天TVなどの配信サイトでは見放題となっていますので、この機会に是非登録してみては如何でしょうか。