『フルハウス』はアメリカのABCで、1987年から1995年にかけて8シーズン全192話が放送されたシチュエーションコメディドラマである。妻を事故で亡くした父親が、兄弟や友人達に支えられながら子育てに奔走するというストーリー。劇中には幼児虐待や飲酒、喫煙、性や死なども取り入れているエピソードもあり、アメリカが抱える社会問題にも焦点を当てている。本作は、全話TV-G(全年齢に適している)の評価を受けていて、子供だけで視聴できる数少ない作品の1つである。尚、韓国の『フルハウス』との関連はない。現在はAmazonプライムビデオやTSUTAYA TV、ABEMAプレミアで視聴可能。
サンフランシスコに住むダニエル・アーネスト・タナーとパメラ・タナー夫妻には、10歳の長女DJと5歳の2女ステファニー、そして生後9か月のミシェルがいて、家族5人で幸せな生活を送っていた。
しかしある日、妻のパメラが交通事故で亡くなってしまう。残されたダニーは、妻の弟のジェシーや親友のジョーイに助けられながら3人の子供を育てていくことに。様々な困難に立ち向かいながら、ダニー、ジェシー、ジョーイは父親らしく成長していくのであった。
シーズン中盤から、ジェシーの妻レベッカや2人の子供である双子のニコラスとアレクサンダー、DJの親友キミーとそのボーイフレンドのスティーブなどがメンバーに加わって、タイトル通りの「フルハウス(大入り満員)」となった。
サンフランシスコを舞台に繰り広げられたシットコム・コメディの代表作である『フルハウス』は、全年齢視聴可のTV-Gランクを与えられた希少なファミリー向けドラマです。タイトルの「フルハウス」は満員という意味で、トランプのポーカー役であるフルハウスに由来しています。
アメリカのシットコム番組では、下品な言葉や暴力的な表現などで笑いを取る作品が多く、小さい子供を含む家族全員で楽しめるファミリー向け番組はとても少なかったのです。そんな状況からアメリカの親たちは半世紀に渡り市民活動を行い、「子供に安全なテレビ番組を」と訴えてきました。
その後1997年に、テレビ業界でレイティングシステムが導入され、本作品がGの全年齢に適していると評価されました。
1987年9月22日に金曜午後8時のゴールデン枠で放送されましたが、放送開始当初は視聴率が振るわず打ち切りも検討されました。しかし徐々に人気を博していき、制作数はシーズン8エピソード192を数え、1995年5月23日に終了しました。
アメリカでは離婚率が高くシングルマザーやファーザーが多い中、残された手のかかる3人娘の子育てに奮闘する父親の姿は、「コテコテのファミリーもの」、「観客の笑い声の入るシットコム」と共感を呼び、高視聴率を挙げています。
1話ごとにDJ・ステファニー・ミシェルの3人娘が巻き起こす事件が勃発し、ダニー・ジェシー・ジョーイの3人のパパ達がドタバタと奮闘しながら、1話内で事件を解決。最後には必ずハグがあるという愛情たっぷりの内容となっています。
ドラマで大活躍する3人娘はドラマ終了までの8年間に渡り出演し、思春期をこの番組で過ごしたと言えるでしょう。そのため、最初のシーズンは子供らしい他愛のない悩みだったのが、中盤では今まで何でも話していたDJが、距離を置くようになって心にある思いを打ち明けなくなり、父親たちはうろたえていくというシーンが多くなっていきます。
制作側は、あくまでも母親がいない父子家庭という点にこだわって、母親不在家庭の問題点に焦点を当てて描き、最終的に父親と娘の話し合いで解決するというスタイルを崩しませんでした。
そんなストーリーから、ぶれない父親ダニーの親としての姿勢が好評となり、「思春期の子供を持つ家庭でオススメ」の育児バイブル番組となりました。
最終回では長女のDJが高校を卒業し、卒業記念であるプロムのダンスパーティーで終盤を迎えます。とりあえず一区切りというところでしょうか。もう少し派手な終わり方を期待していたファンには残念な内容ですが、サプライズもあるようですので、最後までお見逃しなく。
ところで、フルハウスには裏話があったようです。今では周知の事実ですが、3女のミシェル役で登場していたのが、双子姉妹のアシュレー・オルセンとメアリー=ケイト・オルセンでした。しかし、クレジットでは「メアリー=ケイト・アシュレイ・オルセン」と、まるで1人の役者のように表示されていたのです。これは、プロデューサーがミシェル役をやっているのが1人の人物に見せたかったからだということです。
また、ジェシーの役名が当初アダムだったそうですが、本人役のジョン・ステイモスがその名前が嫌いだということでジェジーになったそうです。フルハウスには他にも沢山の裏話があるようですので、検索してみると面白いかもしれません。
3人娘の父親ダニー役に、コメディアンで映画監督のボブ・サゲットが、その義理の弟ジェシー役に『ER緊急救命室』でもお馴染みのジョン・ステイモス、そして3人目の父親ジョーイ役に、コメディアン・声優としても活躍しているデイブ・クーリエが起用されました。
また、長女のDJ役にキャンディス・キャメロン・ブレが、2女のステファニー役にジョディ・スウィーティン、3女のミシェル役にアシュレー・オルセン&メアリー=ケイト・オルセンが起用されました。
キャンディスは2020年現在44歳、ステファニーが38歳、オルセン姉妹が34歳となっています。キャンディスとステファニーは、2016年から放送開始された本作のスピンオフである『フラーハウス』に出演していますが、ミシェル役のオルセン姉妹の出演はありませんでした。
フルハウスの日本での放送は、1993年4月7日から1997年2月12日までにNHK Eテレで8シーズン全192話を放送。その後も2度に渡って再放送されました。現在はAmazonプライムビデオ、ABEMAプレミア、Netflixで視聴が可能です。