ユニークライフ | 海外ドラマ女子会

原題は【Atypical】2017年アメリカ製作。自閉症スペクトラムを題材にした、Netflixオリジナルの青春ドラマである。2019年には放送界のピュリッツアー賞と言われているピーボデイ賞にノミネートされた。シーズン1～4で完結するが、現在Netflixでシーズン3まで字幕・吹替で視聴することが出来る。シーズン1ではエピソード8話、シーズン2と3はエピソード10話。ファイナルのシーズン4は2021年に配信予定である。

18歳の自閉症スペクトラム障害で、南極のペンギンが大好きのサムは、自閉症特有の強いこだわりや正直すぎる発言のため、周囲に溶け込めない高校生活を送っている。同じ学校に通う妹のケイシーがパニックになるサムを支え、バイト先では自閉症に理解のある親友ザヒートが彼を支えている。一般的なティーンエージャーのように恋愛やセックスに興味を持ち始めたサムは、家族や友人、ガールフレンドやセラピストに相談しながら成長し、サム自身が社会的自立を目指していく青春ドラマである。

原題Atypicalは、不定形やアブノーマルな、不規則な、異常なという意味なのですが、これを邦題でユニークライフにしたセンスが素敵です！自閉症スペクトラムの強いこだわり、触られることを嫌がる、表情が乏しい、ルールを作りたがるなど、自閉症の特性について知らない人から見れば変な人と思われがちなのですが、自閉症スペクトラムはユニークな個性なんですよね。本当にとてもいい邦題です。

自閉症を題材にしたもので一番有名な『レイン・マン』では、ダスティン・ホフマンがさすがベテラン俳優だけあって、綿密に役作りに励み評価の高い名作となりました。このユニークライフでの自閉症サム役のイギリス人俳優のキーア・ギルクリストは、シーズン1では自閉症の特性が不正確だと批評され、シーズン2からは自閉症の作家を起用し高く評価されています。ドラマでのサムは大きな音や光が苦手で、ヘッドホンをしてほぼ真顔なのですが、なんとキーアはパンクバンドのボーカルをしているそうです。そんな過激さなどドラマでは微塵も感じられません。若手ながら素晴らしい演技です。

兄サムを支えるケイシー・ガードナー役のブリジェット・ランディ＝ペインは、横顔といいきりっとした眉毛と長い睫毛、大きな目がアン・ハサウェイに似てとても可愛い女の子です。幼少期の頃はサム中心な生活でさみしい気持ちになることもありましたが、母エルサの浮気を知って傷ついたり、転校した私学での転校先で始めてケイシーが友達になったイジーから意地悪をされても立ち向かっていく姿は、サムを支えながら自分で培って来た強さの賜物でしょう！イジーとはその後親友を超えた存在になります。

サムの親友であるバイト先のインド人ザヒート。髪型が横風注意！！のように左後方から横向きに髪を流し、堂々と恋愛のエキスパートのように振る舞う個性的な彼は、自閉症のサムにいろんんなアドバイスをしてくれます。サム唯一の親友であるザヒートは、自閉症では難しいとされている自立を後押してくれる重要な存在です。人に興味ないといった自閉症の特性を、親友ができることでサムの社会生活が広がっていくのも見どころです。

シーズン1でサムにの彼女になったペイジは、頭に大きなリボンを付けるのが好きなユニークなファッションをした女の子です。そのユニークなファッションやヘアスタイルから他の人には敬遠されがちですが、サムの自閉症というハンデにも全く動じることなく、ダンスパーティーを大きな音が出ると嫌がるサムのために、サイレントパーティーを企画するほどの行動力がありました。音楽がガンガン流れるダンスパーティーではなく、きれいなLEDのランプが光るヘッドホンを付けてダンスを楽しむサイレントパーティーは、幻想的なシーンです。彼女との交際が、自立への第一歩でした。

自閉症スペクトラムが題材のドラマなので、正直吹替は厳しいものがあります。出来れば字幕版で視聴されることをおすすめします。

現実には、自閉症スペクトラムにはいろんな程度があります。このドラマでは自閉症の特性や、家族や本人の努力を知ることが出来るのが、一番の見どころだといえるでしょう。自閉症ってよくわからないんだけど…という方にも、このドラマは重苦しさなく自閉症を理解することが出来ます。偏見や差別のない優しい世界を望む方に、是非おすすめしたいドラマです。